本人へ滞納家賃の支払い請求、2つのポイント
①まずは簡単で結構ですので、すぐに請求しましょう
滞納されている家賃を回収したいという場合には、まずはじめに、早急に借主に支払いの請求を行いましょう。
支払の請求をしないまま放置しておくと、貸主に対して「しばらく滞納しても大丈夫だろう」と考える借主も出てきてしまいますし、噂として広められると非常に厄介です。
また、家賃の請求権は5年で時効にかかってしまいますから、その期間放っておくと、請求したときに「もう時効だから支払わないよ」と言われてしまうおそれもあります。
こういった事態を防ぐため、まずは請求書を再送したり、最低限でも、電話・メール・FAX等の手段で支払を請求することが大切です。
②それでダメなら、内容証明郵便を送付しましょう
電話やメール・FAXなどで何度か未払い家賃の督促しても音沙汰がない、請求書を送っても全く支払われない、という場合には、内容証明郵便で「○○月から○○月までの計○ヶ月分の家賃○○○○円を、○月○日までに下記の口座に支払って下さい。支払いが確認できない場合には、裁判などの法的手続きをつかいます」という旨の書面を送ります。
ただし、郵便局の方に聞いてもらうとわかると思いますが、内容証明郵便を出すのは結構手間のかかる作業で、また、一般の方が出しても一定以上の効果が見込めない場合があります。
そのため、内容証明郵便の文案作成・送付だけでも、弁護士に依頼することをお勧めいたします。
「思ったより費用対効果が高かった」というお声も数多く頂いておりますので、まずは弁護士にご相談ください。
連帯保証人等へ滞納家賃の支払い請求、3つのポイント
①連帯保証人とは?
連帯保証人とは、借金の全額について、借主と同様に義務を負う人のことをいいます。
建物の賃貸借契約などの場合には、契約時に連帯保証人を確保しておくことが非常に重要であるといえます。
契約書上には連帯保証人本人に自署をしてもらい、また、住民票や印鑑証明等を必要に応じて提出してもらうようにしましょう。
万が一連帯保証人を立てることができない場合には、そもそも建物賃貸借契約をしないこととするか、保証会社の保証を受けてもらうことを条件とすることを検討しましょう。
②連帯保証人が居る場合
連帯保証人は、法的には、借主と同様の未払い家賃支払い義務を負っていると評価されることとなります。
そこで、借主に滞納している家賃・賃料を請求する場合には、連帯保証人に対しても同じように請求するのが一般的です。
連帯保証人は債務(借金、未払い分のこと)の全額について支払義務を負いますから、全額の支払いを請求することができます。
③連帯保証人に未払い家賃を請求するには?
連帯保証人に滞納されている家賃・賃料の請求し、回収していくプロセスは、本人に請求する場合と同様です。
端的にいえば、まずは連帯保証人に電話・FAX・メールで滞納家賃の請求をし、又は請求書を郵送します。
そして、請求を何回かしても未払い家賃・賃料の支払いが為されない場合には、内容証明郵便を送付することとなります。
その場合、本人への支払い請求の項でも確認したとおり、手間・効果を考えると、弁護士に依頼(少なくとも相談)したほうが効果的な回収が見込めることが非常に多いといえます。
裁判などの法的手続きをとる、5つのポイント
①訴訟などの法的手続きを検討してみましょう
家賃・賃料の未払いが頻繁であったり、相当な額を滞納しているなどの悪質な借主に対しては、支払督促、少額訴訟という一種の裁判手続きなどによって債権回収を図ることができます。
借主が非常に悪質で、滞納額が60万円を超えるような場合には、通常の裁判を行う必要性があることもございます。
いずれかの手続きが終了し、勝訴等が確定した後にも家賃を支払ってこない場合には、強制執行という手続きを行うことで、権利実現をすることができます。
以下、それぞれの手続きについて簡単にご説明いたします。
②支払督促を検討しましょう ~支払督促とは?~
支払督促とは、書類を作成して裁判所に審査してもらうだけの、比較的簡易な手続です。
書類審査なので、この手続きだけで権利が確定すれば、裁判所へ行く必要もございません。
但し、債務者(借主)から異議の申立てがあると、通常の民事訴訟(裁判)手続きに移行してしまい、原則として借主の住居地にある裁判所へ行く必要がでてきてしまうため、借主の住居地が遠い場合には注意が必要です。
作成した書面に不安がある場合、そもそも書面をつくってほしいという場合には、弁護士にご相談下さい。
③少額訴訟を検討しましょう ~少額訴訟とは?~
借主の滞納している家賃が60万円以下である場合には、少額訴訟という手続きを使うことができます。
少額訴訟は、通常の裁判と違って安価で提起をすることができ、また、裁判は通常1日でおわるので、その日のうちに判決がでることになります。
また、最寄りの簡易裁判所に申立を行い、借主に出頭を求める(来てもらう)ことができる手続ですので、借主の住居地が遠隔地である場合にも用いやすい手続きであるといえます。
作成した書面に不安がある場合、そもそも書面をつくってほしいという場合には、弁護士にご相談下さい。
④通常訴訟を検討しましょう ~通常訴訟とは?~
通常訴訟とは、皆さんが想像されるいわゆる「裁判」のことです。
通常訴訟は、一般の方が行うことは難しく、また、費用も支払督促や少額訴訟に比べてかかってしまいますので、ある程度の回収可能性あるばあいに行うべきであるといえます。
また、多くの不動産案件においては、滞納家賃の回収のための訴訟だけでなく、建物明け渡し請求の訴訟も並行して行われるのが一般的です。
滞納家賃回収のための裁判、建物明け渡し請求についてお悩みの方は、まずは弁護士にご相談下さい。
⑤それでも支払いが行われなかったら・・・
皆さんが、一般的な催促に始まり、支払督促・少額訴訟・通常訴訟など、適切な請求を行って確定判決等を得たとしても、借主が支払いをしてこない場合にはどうしたら良いでしょうか?
そのような場合には、借主の預貯金や給料を差し押さえたり、所有不動産・自動車・その他宝石や貴重品類を持っている場合にはそれらを競売にかけて現金化することなどができます。
この手続きを「強制執行」といいます。
特に給与差し押さえの場合、裁判所から借主の「職場」に差押えの命令が送られることとなるため、その後は借主が自主的に家賃を支払ってくる、という場合もあります。
滞納されている家賃・賃料にお悩みの方へ
滞納されている家賃回収のために裁判を起こしたい、連帯保証人に請求書面を送りたい、などの場合には、弁護士にご相談することをお勧め致します。
弁護士名を入れた書類をつくることで効果的な回収が見込める場合や、通常裁判の訴状作成でミスをしないためにも、一度は専門家が見ておくべきだからです。
少しでも悩まれた場合には、まずはお問合せください。