明け渡しや立ち退きを求めるには 目次
明け渡し・立退き請求の要件と流れ、2つのポイント
①明け渡し・立退き請求が認められるためには
通常、建物等の不動産の借主は、借地借家法という法律によって保護を受けており、一度賃貸借契約を締結すると、たとえ家賃の滞納があったとしても、貸主は借主の同意なしに部屋の片づけや明渡の強制を行うことはできません。
そういった手続きを強引に行うと、予期せぬトラブルを招く結果となったり、最悪の場合、逆に裁判を起こされてしまうケースすら考えられますので、一定の要件を満たしているかどうかを十分に検討するべきです。
立退きや明渡請求を求めるための要件としては「借主に家賃の未払いなどの債務不履行があること」及び「借主と貸主の信頼関係が壊れていること」が必要であるとされています。
実務上の話を致しますと、概ね3ヶ月以上の家賃滞納が発生していて、かつ、今後も支払いが行われる見込みがない場合に、立ち退きや明渡請求を検討していくことになります
②明け渡し・立退きの請求の流れ(Ⅰ~Ⅴ)を確認しましょう
Ⅰ.物件の現状について調査する
まずはじめに、建物や土地など、物件の現在置かれている状況について調査を行います。
この手続きを行うことで、例えばその建物に実際に借主が住んでいることなどを把握することができ、借主が失踪したことによって滞納が発生しているわけではない、という事などが分かります。
Ⅱ.内容証明郵便による催告を行い、交渉をはじめる
物件の調査を行ったら、内容証明郵便を送付して、「未払いとなっている家賃の催告」と「賃貸借契約の解除を求める意思表示」を証拠・書面化し、借主と話し合いしたうえで、交渉を開始します。
Ⅲ.占有移転禁止の仮処分を申し立てる
借主が、知らぬ間に行方をくらませていて、第三者が建物を占有している、というような状況になっていると、明け渡しの手続きが困難になります。
なぜなら、明け渡しの判決を得る前に、他の人に当該建物の占有権が移転してしまうと、判決が無意味になってしまうためです。
こういった事態を防ぐため、危険性が高い場合には、占有移転禁止の仮処分という一種の保全手続きを行います。
Ⅳ.賃料(家賃)請求・明渡請求訴訟を起こす
借主が話し合いや交渉に応じなかったり、あるいは借主が行方不明となってしまっている場合などには、裁判所に訴訟を提起することになります。
裁判が終わった後にでる「判決」に基づく明渡しは、最も確実な家賃請求・明渡請求の手段であるといえます。
一定の費用がかかってしまうのは事実ですが、ご自分で訴訟提起した場合の手間や効果を考えると、やはり弁護士に任せるのが安全であるといえます。
Ⅴ.強制執行に基づく権利の実現を図ります
勝訴判決を受けたとしても、借主や占有をしている者が強硬に明渡や支払いを拒む場合などには、強制執行手続きによって、強制的に明渡しを行い、また、給料や預貯金の差押えを行います。
以上で全ての手続きが完了する形となります。
立ち退き料の支払いについて、4つのポイント
①立ち退き料とは
立ち退き料とは、貸主の都合だけでは正当事由とは認められない場合に、立ち退いてもらう条件として、明け渡しと共に借主へ支払われるお金のことをいいます。
また、貸主には何ら落ち度はなかったとしても、早期に立ち退いてもらうために立ち退き料を支払う、といった場合もあります。
②立ち退き料の相場はいくらくらい?
よく立ち退き料の相場について質問をうけますが、これについては、明確な相場というものはございません。
決まりきった計算式があるわけではないので、立ち退き料は、貸主(不動産オーナー)と借主の双方の事情を考慮して決定されることとなります。
そのため、具体的な金額の策定を行う場合には、弁護士にご相談されることをお勧め致します。
③貸主(不動産オーナー)側の事情の代表例
・貸主(オーナー様)の年齢・職業・保有資産や経済状態・健康状態
・立退きの理由(建物の状態・経過年数・老朽の度合い・修繕費用・近隣状況等)
・契約内容(契約期間・更新状況・契約時の特殊事情・近隣との家賃比較等)
・立退き請求後の交渉経過
④借主側の事情の代表例
・借主の年齢・職業・保有資産や経済状態・健康状態
・借主の状況(通勤時間・家族構成等)
明け渡し・立退きの請求をしたい方へ
建物の明け渡しを請求したい、未払い家賃を回収した、立ち退きをしてほしい、などの場合には、弁護士にご相談することをお勧め致します。
一般的に明渡や立退き請求は一定の手順をふむことが重要で、かつ、とるべき手段も状況に応じ、対応を変えていく必要があるからです。
少しでも悩まれた場合には、まずはお問合せください。